フリーランスは賃貸を借りられる?審査に通るための準備と必要書類を解説

フリーランスは賃貸を借りられる?審査に通るための準備と必要書類を解説
フリーランスの読みもの編集部
執筆
フリーランスの読みもの編集部
記事の執筆・編集を担当
西村 裕介
監修
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

フリーランスとして独立を考えたとき、あるいは独立後に引っ越しを控えたときに、「フリーランスは賃貸の審査に通らない」という話を見かけて不安になる人は少なくありません。実際には、フリーランスでも賃貸は借りられます。会社員とは収入の見られ方が違うだけで、何を準備すればいいかがわかれば審査は通せます。審査で見られるポイントから必要書類、通すための対策、落ちたときの選択肢までを整理します。

目次
  1. フリーランスでも賃貸は借りられる
  2. 賃貸審査で見られる4つのポイント
  3. フリーランスの賃貸審査に必要な書類
  4. 賃貸審査を通すための対策
  5. 賃貸審査に落ちたときの選択肢
  6. 家賃を経費にできるか
  7. 借りられる前提で住まいを準備しよう

フリーランスでも賃貸は借りられる

フリーランスは賃貸を借りられないと思われがちですが、実際には借りられます。まず、なぜ借りにくいと言われるのか、その背景と会社員との違いを押さえておきます。仕組みがわかると、審査で何を示せばよいかが見えてきます。

なぜ借りにくいと言われるのか

会社員には毎月決まった給与があり、勤務先という後ろ盾があります。一方でフリーランスは、収入が月ごとに変動し、雇用契約による安定の裏づけがありません。

貸す側は、入居者が家賃を払い続けられるかどうかを見ています。フリーランスは収入の見通しが読みにくいぶん、会社員より判断に手間がかかりやすいだけです。借りにくいと言われるのは、信用がないからではなく、収入の安定を確認しづらいからです

フリーランスでも、収入と支払い能力を示せれば賃貸は借りられます。借りられないという前提から入る必要はありません。

会社員と違うのは評価の軸

会社員の審査では、雇用されていること自体が信用の代わりになります。源泉徴収票を出せば、安定した収入があるとみなされます。

フリーランスの場合は、自分の収入と支払い能力を自分で示すことになります。評価の軸が、どこに所属しているかから、どれだけの実績と備えがあるかに変わるだけです。

見られ方が変わるだけで、審査の通りやすさは準備で変えられます。何を見られるのかを次に整理します。

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

フリーランスは賃貸を借りられないという話を、自分はあまり信じていません。借りられないのではなく、収入の安定を相手が確認しづらいだけです。やることは信用を演出することではなく、払える事実を数字で示すことです。まず直近の確定申告書の控えが手元にあるか確認してみてください。

賃貸審査で見られる4つのポイント

賃貸の入居審査では、貸す側が家賃を払い続けられる相手かどうかを確かめます。フリーランスの審査で特に見られるのは、家賃と収入のバランス、収入の継続性、貯蓄、保証人と保証会社の4つです。何を見られるかがわかれば、どこを準備すればよいかが決まります。

家賃と年収のバランス

最初に見られるのは、家賃が収入に対して無理のない水準かどうかです。一般的な家計の目安として、月の家賃を手取り月収の3分の1以内に抑えると無理が出にくく、賃貸審査でもこの水準が一つのめやすになります。

ここで注意したいのが、フリーランスは「所得」ではなく「収入(売上)」で見られることが多い点です。確定申告書では経費を引いた所得が小さく出ますが、審査では売上ベースで家賃とのバランスを見るケースもあります。背伸びした家賃より、収入に対して余裕のある家賃を選ぶことが、審査では有利に働きます

収入の継続性と事業実績

単年の収入額だけでなく、その収入が続く見込みがあるかも見られます。開業からの年数や、確定申告を複数年提出できるかどうかが判断材料になります。

継続的な取引先がある、長期の業務委託契約を結んでいる、といった事実は収入の継続性を示す材料になります。1年分より2期分の確定申告書があるほうが、収入が続いていることを示しやすくなります。実績が浅い場合の補い方は、このあとの書類と対策で扱います。

貯蓄額と支払い能力

収入が変動しても家賃を払えるだけの蓄えがあるかも、重要な判断材料です。預金残高は、収入の波を乗り切る支払い能力を示す直接的な証拠になります。

明確な金額の基準が公開されているわけではありませんが、家賃の半年から1年分程度の残高があると、支払い能力の裏づけとして説明しやすくなります。収入が不安定でも、蓄えで補えることを示せれば審査の評価は変わります

保証会社と連帯保証人

いまの賃貸契約は、家賃保証会社の利用を必須とする物件が多くなっています。入居者が家賃を滞納したときに、保証会社が立て替える仕組みです。この保証会社の審査を通れるかどうかが、実質的な関門になります。

保証会社に加えて連帯保証人を求められることもあります。安定した収入のある親族などを連帯保証人に立てられると、審査は通りやすくなります。保証会社には系統があり、選び方で通りやすさが変わる点は、対策のなかで詳しく扱います。

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

審査で見られる4点は、結局どれも家賃を払い続けられるかという一点に集約されます。所得が小さく出るフリーランスこそ、売上や預金という別の数字で支払い能力を示す発想が効きます。気になる物件があるなら、その家賃が自分の月収の何割になるかを先に計算してみてください。

フリーランスの賃貸審査に必要な書類

審査で見られるポイントを示すのが、提出する書類です。書類は、ほとんどの物件で求められる基本書類と、収入や信用を補強する書類に分かれます。実績が浅いほど、補強書類で支払い能力を示すことが効いてきます。

本人確認と収入を示す書類

まず必要になるのが、本人確認と収入を示すための基本的な書類です。多くの物件で共通して求められます。

書類役割
運転免許証やマイナンバーカード本人確認
確定申告書の控え(直近1〜2期分)収入の証明
預金通帳や残高証明書支払い能力の証明

確定申告書は、収入を公的に示せるもっとも基本的な書類です。青色申告でも白色申告でも、控えに収受印または受信通知があるものを用意します。e-Taxで申告した場合は、受信通知を一緒に保管しておくと証明に使えます。フリーランスにとって、確定申告書の控えは会社員の源泉徴収票にあたる収入証明です。毎年の申告を済ませておくことが、そのまま審査の準備になります。

確定申告書の控えを用意するための申告のやり方はフリーランスの確定申告のやり方と必要書類で整理しています。

実績が浅いときの補強書類

基本書類だけで不安がある場合や、開業して間もなく確定申告書が手元にない場合は、補強書類で支払い能力と収入の継続性を示します。

  • 納税証明書や所得証明書
  • 業務委託契約書や請負契約書の写し
  • 開業届の控え
  • 取引先からの発注書や報酬の入金履歴

業務委託契約書は、これからも収入が続く見込みを示す材料になります。継続的な契約や複数の取引先があることは、収入の安定を裏づけます。開業直後で確定申告書がない場合は、会社員時代の源泉徴収票を併せて出す方法もあります。手元の書類が少ないときほど、契約書や入金履歴で「これからも収入が続く」ことを示すのが効果的です

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

書類は、自分が払える相手だと伝えるための材料です。フリーランスにとって確定申告書の控えは、会社員の源泉徴収票と同じ役割を持ちます。毎年きちんと申告しておくことが、そのまま住まいの選択肢を広げます。まず直近の確定申告書と納税証明書を出せる状態か確認してみてください。

賃貸審査を通すための対策

見られるポイントと必要書類がわかれば、申し込む側で打てる手が見えてきます。家賃の水準、預金残高の示し方、仕事の伝え方、物件と不動産会社の選び方の4つが、審査を通すための基本の対策です。

家賃を抑えて申し込む

もっとも効果が大きいのが、家賃を収入に対して無理のない水準に抑えることです。家賃が下がるほど、貸す側が見る支払いの負担が軽くなり、審査は通りやすくなります。

希望の物件より少し家賃の低い物件を選ぶ、エリアや築年数の条件を調整するなど、家賃を下げる余地は探せます。収入が安定するまでは、背伸びした家賃より通りやすい家賃を優先するのが現実的です。家賃を1段下げるだけで、審査の通りやすさは大きく変わります

預金残高で支払い能力を補う

収入が変動するフリーランスにとって、預金残高は強い材料になります。収入が少ない月があっても、蓄えから家賃を払えることを示せるからです。

通帳の写しや残高証明書を、求められる前に用意しておくと交渉がスムーズです。貯金が家賃の半年から1年分あると、支払い能力の裏づけとして説明しやすくなります。確定申告上の所得が小さくても、預金で補える点はフリーランスならではの示し方です。所得の数字が小さいときほど、預金残高で支払い能力を見せることが効きます

仕事の安定を申込時に伝える

数字に表れない仕事の安定を、自分から伝えることも有効です。貸す側はフリーランスの実態を知らないことが多く、説明があるかないかで印象が変わります。

長期の業務委託契約があること、継続的な取引先がいること、専門的なスキルで需要があることなどを、契約書やポートフォリオとあわせて伝えます。これから独立するなら、会社員のうちに引っ越しや契約更新を済ませておくと、審査がもっとも通りやすい点も知っておくと選択肢が増えます。独立を決めているなら、住まいの手当てを退職前のスケジュールに入れておくと動きやすくなります。「収入が続く理由」を具体的に伝えることが、書類の数字を補強します

不動産会社と物件の選び方

どこに申し込むかでも、通りやすさは変わります。フリーランスの受け入れに慣れた不動産会社や物件を選ぶことが、遠回りに見えて近道です。

大手管理会社の物件は審査基準が一律で厳しい傾向があり、地域の中小不動産会社のほうが個別の事情を汲みやすい場合があります。保証会社にも、信販会社系と独立系があります。クレジットの利用履歴を見る信販系を避け、独立系の保証会社を使う物件を選ぶと通りやすいことがあります。過去に滞納や延滞があると信販系の審査で不利になりやすいため、物件を選ぶ段階で保証会社の系統を確認しておくと、無駄な落選を減らせます。

西村 裕介
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ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

対策で自分が一番大きいと思うのは、家賃を一段下げることと、申し込む相手を選ぶことです。大手の一律な基準で落ちても、事情を汲む不動産会社なら通ることがあります。独立を決めているなら、会社員のうちに動くと選べる物件の幅が変わります。まず無理のない家賃の上限を決めてから物件を探してみてください。

賃貸審査に落ちたときの選択肢

対策をしても審査に落ちることはあります。落ちても住む場所がなくなるわけではなく、打てる手は残っています。条件を変えて再び申し込む方法と、審査の仕組みが違う物件に切り替える方法の2つが基本です。

条件を変えて再申し込みする

落ちた原因に心当たりがあるなら、条件を変えて別の物件に申し込みます。同じ条件で繰り返すより、通る確率を上げる調整が先です。

家賃をさらに下げる、預金残高の証明を追加する、連帯保証人を立てる、といった調整で評価は変わります。同じ保証会社に短期間で再申請すると履歴が残るため、保証会社の異なる物件を選ぶほうが通りやすいことがあります。落ちた理由を一つ埋めてから次に申し込むと、同じ失敗を繰り返さずに済みます

審査基準の違う物件を選ぶ

一般の賃貸とは審査の仕組みが違う物件に切り替える方法もあります。収入の安定性より別の基準で判断されるため、フリーランスでも通りやすい場合があります。

UR賃貸住宅は、保証人も家賃保証会社も不要で、基準月収額を満たすか、月額家賃の100倍以上の貯蓄があれば申し込めます。収入が基準に届かなくても、貯蓄で代えられる仕組みです。

出典:お申込み資格|URの借り方|UR賃貸住宅

ほかにも、初期費用を抑えて短期で住めるマンスリーマンションやシェアハウスは、一般の賃貸より審査が緩やかな傾向があります。まず住む場所を確保し、確定申告の実績を積んでから一般の賃貸に移るという順番も選べます一般の賃貸が難しいときは、審査の軸が違う物件をいったんの足場にする手があります

西村 裕介
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ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

審査に落ちても、自分の価値が否定されたわけではなく、相手の基準に合わなかっただけです。家賃や保証会社を変える、UR賃貸を使うなど、打てる手は残っています。落ちた理由を一つ埋めて次に進めば、通る確率は上がります。まず落ちた物件の保証会社の系統を確認してみてください。

家賃を経費にできるか

借りた部屋を仕事場としても使うなら、家賃の一部を経費にできます。住まいを借りる話と税金の話はつながっていて、契約後の節税にも関わってきます。

自宅で仕事をしている場合、家賃のうち事業で使う割合を家事按分として必要経費にできます。按分できるのは、業務に必要だと明らかに区分できる金額に限られます。

出典:No.2210 必要経費の知識|国税庁

割合は、仕事に使う部屋の面積や使用時間など、合理的な基準で決めます。住居用として借りた部屋でも、仕事に使う部分は家事按分で経費にできます。経費にできる範囲や家事按分の具体的な計算は、フリーランスが経費にできるものと判断軸で整理しています。住む部屋を選ぶときに、仕事に使うスペースも意識しておくと、契約後の経費の判断がしやすくなります

西村 裕介
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ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

住まいを借りる話と税金は地続きです。仕事に使う部屋なら、家賃の一部を家事按分で経費にできます。住居用として借りた部屋でも、使い方次第で手元に残るお金が変わります。部屋を決めるとき、仕事に使うスペースをどう按分できるかも一度考えてみてください。

借りられる前提で住まいを準備しよう

フリーランスは賃貸を借りられないという話は、収入の見られ方の違いから生まれた思い込みです。何を見られるかを知り、書類とタイミングを準備すれば、審査は通せます。

  • フリーランスでも賃貸は借りられる。会社員と評価の軸が違うだけ
  • 審査では家賃と収入のバランス、収入の継続性、貯蓄、保証会社が見られる
  • 確定申告書の控えが収入証明の基本。実績が浅ければ契約書や預金で補う
  • 家賃を抑え、預金残高を示し、仕事の安定を伝えることで通りやすくなる
  • 独立を決めているなら、会社員のうちに引っ越しを済ませる選択肢もある
  • 落ちてもUR賃貸など審査基準の違う物件で足場を作れる
  • 借りた部屋を仕事に使うなら、家賃の一部を家事按分で経費にできる

最初の一歩は、直近の確定申告書の控えと預金残高を手元で確認することです。そのうえで、収入に対して無理のない家賃の物件を、フリーランスの受け入れに慣れた不動産会社で探すと、審査の見通しが立てやすくなります。独立前なら、住まいの手当てを退職のスケジュールに組み込んでおくと、選べる物件の幅が変わります。

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

フリーランスの賃貸は、借りられるかどうかより、準備できているかどうかで決まります。家賃の水準、確定申告書、預金残高という数字を整えれば、審査は通せる範囲に入ります。借りられない前提で諦める必要はありません。まず確定申告書の控えと預金残高を並べて、出せる家賃の上限を決めるところから始めてみてください。


※本記事の内容は2026年6月時点の情報にもとづいて執筆しています。賃貸審査の基準は物件や保証会社、不動産会社によって異なり、変更される場合があります。家事按分など税務の取り扱いの最新情報は国税庁公式サイトを、UR賃貸住宅の申込資格は都市再生機構(UR都市機構)公式サイトをご確認ください。

西村 裕介
監修
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)
正社員として働きながら、コンサルティングやメディア事業を手がける法人を経営し、AFP認定ファイナンシャルプランナーとして個人でも活動中。副業フリーランスの立場から、独立や副業を考える人に役立つ情報を発信している。
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フリーランスの読みもの編集部
記事の執筆・編集を担当
公的データに基づく制度や数値の記載を徹底し、商品・サービスは編集部が本当に良いと判断したものを紹介。専門資格を持つ監修者と連携し、フリーランス・個人事業主の判断材料となる情報をわかりやすくお届けします。