フリーランスはやめたほうがいい?判断軸や向いている人の特徴を紹介

フリーランスはやめたほうがいい?判断軸や向いている人の特徴を紹介
フリーランスの読みもの編集部
執筆
フリーランスの読みもの編集部
記事の執筆・編集を担当
西村 裕介
監修
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

「フリーランスはやめたほうがいい」という声を見て、踏み出す判断に迷う人は多いはずです。挙げられる理由は確かに存在するものの、フリーランスの実態データと照らすと、印象が変わる部分も見えてくるでしょう。この記事を読めば、やめたほうがいいと言われる理由、データで見る実態、向いている側にいるかの判断軸、踏み出す前にやれる準備までを、自分のケースに当てはめて確かめられます。

目次
  1. やめたほうがいいと言われる理由
  2. データで見るフリーランスの実態
  3. フリーランスをやめたほうがいい人の特徴
  4. フリーランスが向いている人の特徴
  5. 後悔を減らすための在職中の準備
  6. やめるかどうかは自分の物差しで決めよう

やめたほうがいいと言われる理由

やめたほうがいいと言われると、何がそんなに大変なのか、具体的に知りたくなります。繰り返し挙がる理由は、大きく5つです。それぞれが自分の業種でどう影響するのか、どう備えれば負担を和らげられるのかまで、ひとつずつ見ていきましょう。

収入の波が大きい

会社員のように毎月固定額が入る仕組みはありません。案件の繁閑や入金のタイミングで月収は振れ、複数案件を抱えていても、クライアント側の予算停止や契約終了で売上が落ちる局面もあります。月単位ではなく、半年から1年の単位で収入を均す感覚が前提になる働き方です。

ただし、取引先を複数に分け、数カ月分の生活防衛資金を持っておけば、波そのものは小さくできます。収入の振れ自体は消せなくても、暮らしへの影響は資金管理で抑えられるからです。

社会的信用を得にくい

住宅ローンや賃貸契約、クレジットカードの審査では、会社員と比べて評価されにくい場面があります。事業所得は給与所得と異なる見方で審査されるため、独立直後は不利になりやすい構造です。

対策として、クレジットカードやローンは会社員のうちに通しておくのが有効です。賃貸はフリーランス対応の保証会社を選び、確定申告を数年続けて安定した所得を示せれば、審査の通りやすさも変わってきます。

フリーランスの賃貸審査の通し方や必要書類はフリーランスは賃貸を借りられる(審査の通し方)で整理しています。

福利厚生と退職金がない

厚生年金、健康保険組合、退職金、社員寮、育休給付など、会社員に付いてくる仕組みは基本的にありません。独立後は国民年金と国民健康保険に切り替わり、足りない備えは自分で組み立てる前提になります。

出産・育児で使える公的支援はフリーランスに育休はあるか(出産と育児で使える公的支援)で整理しています。

退職金の代わりには小規模企業共済、年金の上乗せにはiDeCoや国民年金基金が代表的です。会社が用意していた仕組みを自分で組み直すと考えれば、ないものは制度で補えます。

健康保険や年金が会社員からどう変わり、年収別にいくら負担するのかはフリーランスの社会保険の変化と保険料の抑え方で整理しています。

確定申告など事務作業の負担

帳簿付けから領収書の整理、確定申告、インボイス対応、請求書の発行まで、事務はすべて自分の担当です。クラウド会計を使ってもゼロにはならず、最終判断を自分で行う領域は残ります。

ただし、クラウド会計ソフトや税理士への委託で手間の大半は仕組みに任せられ、日々レシートを撮って記録しておけば、確定申告は年に一度の作業として回せるようになります。

確定申告が必要になる条件や書類の準備の手順はフリーランスの確定申告の要否と進め方で確認できます。

孤独とモチベーション管理

チームのいない時間が増え、仕事の見通し、進捗の管理、気持ちの切り替えまで、全部自分でコントロールする必要があります。一人で動くこと自体が苦手な人にとっては、想像以上に大きな負荷になる領域です。

同業者のコミュニティや交流会、コワーキングスペースを使い、つながる仕組みを意識して用意すれば、孤独を抱え込まない環境は自分で作れます。

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

理由として挙がる5つは、構造として実在します。ただ、どの理由がどれだけ重くのしかかるかは、業種や働き方次第です。自分の場合はどれが大きな問題になりそうかを書き出すと、どこに備えればいいかがはっきりして、動き出しやすくなります。

データで見るフリーランスの実態

挙げられた理由をそのまま受け取ると、フリーランスは大変な働き方のように見えます。ところが、実際に働く人のデータが映すのは、それとは違う姿です。やめたほうがいいという声が、どこまで実態に沿っているのかを確かめましょう。

フリーランスの満足度と継続意向

フリーランス白書2025(フリーランス協会)によると、就業環境・人間関係・達成感・プライベートとの両立といった項目では、7〜8割が満足と答えました。一方で収入は、34.0%が満足、40.2%が不満と、満足より不満がやや上回ります。

出典:「フリーランス白書2025」を発表|フリーランス協会

働き方そのものの満足度は高い一方で、収入の満足度だけが分かれています。これが、白書から読み取れる二面性です。裏を返せば、収入の不安さえ準備と設計で抑えられれば、働き方の満足は高いまま保てます。やめたほうがいいと感じるかどうかを分けるのは、その不安をどれだけ仕組みで小さくできるかです。

収入は平均ではなく分布で見る

ランサーズ「フリーランス実態調査2024年」では、日本のフリーランス人口は1,303万人、経済規模は20兆3,200億円とされています。ただし内訳を見ると、年収99万円以下の層が約7割で、副業系・複業系ワーカーは収入が低い傾向です。自由業系・自営業系のワーカーは、比較的高い収入を得ています。

出典:フリーランス実態調査 2024年|ランサーズ

つまり、フリーランス全体の平均年収を見ても、本業として独立した人の収入像は見えてきません。本業で独立するなら、副業を含む全体統計ではなく、本業層の分布を参考にするのが現実的です。低年収層の多くは、月数万円ほどの副業ワーカーで占められています。専業として実績を積んだ層に絞って見れば、収入の見え方はまるで別ものです。

社会的信用は工夫で補える

住宅ローンの審査では、フリーランスは過去数年分の確定申告書の控えを提出します。ポイントは、節税で所得を下げすぎず、安定した所得を申告できているかどうかです。クレジットカードを独立前に作り、賃貸はフリーランス向けの保証会社を使うといった準備で、信用の壁の多くは乗り越えられます。

仕事の需要そのものは増えている

やめたほうがいいと言われる一方で、フリーランスに仕事を頼む企業側の動きは広がっています。リモートワークの定着で、必要なときに外部の専門人材へ業務を委託する形が一般的になりました。経済規模が20兆円を超えて拡大していること自体が、需要の裏づけです。

フリーランスの母数も需要も、伸び続けている領域です。問われるのは、増えた需要の中で、自分が何で選ばれるかという点になります。

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

働き方そのものに満足する人は7〜8割、収入に満足する人は4割未満が実態です。自分が重視するのは働き方なのか収入なのかで、データの読み方は変わります。先に働き方と収入のどちらを重視するかを決めておけば、見るべき数字が絞れて判断に迷わずに済むはずです。

フリーランスをやめたほうがいい人の特徴

理由とデータを踏まえると、次に気になるのは、自分はやめておくべき側なのかどうかです。ここでは、急いで独立しないほうがいい人の特徴を4つ挙げます。どれに当てはまるかで、準備で克服できる内容か、変えにくい価値観かが分かれるので、数より中身に目を向けて読んでみてください。

自己管理が苦手な人

時間配分、タスク管理、モチベーションの維持まで、すべて自分で組み立てる必要があります。上司や同僚に動かされて働くほうが楽だと感じる人は、フリーランスでは想像以上に消耗しがちです。ただし、作業時間を固定する、タスクを見える化するといった仕組みで、自己管理の弱さはある程度まで補えます。

安定だけを優先したい人

毎月決まった額が入ること、賞与があること、変化の少ない環境を最優先にしたい人もいます。フリーランスは収入の振れ幅と引き換えに自由を得る働き方なので、安定第一の希望とは噛み合いません。安定を最優先するなら、無理に独立せず会社員を続ける判断も十分に合理的です。どちらが上ではなく、何を大事にするかの違いにすぎません。

すでに独立していて正社員に戻る場合の進め方や手続きはフリーランスから正社員になるには(進め方と税金の手続き)で整理しています。

スキルや経験が薄い段階の人

発注者から、お金を払ってでも頼みたいと思われる技術や実績が手元にない段階での独立は、案件の獲得で苦戦するパターンです。むしろ会社員のうちに実績を積んでから動くと、選択肢は広がります。収入のある在職中にこそ、スキルと実績は作っておきたいところです。

フリーランスに必要なスキルの全体像と身につけ方はフリーランスに必要なスキルと案件が途切れない人の共通点で整理しています。

営業を全くしたくない人

案件の獲得も、契約交渉も、条件の調整も、最後は自分で動くことになります。エージェント経由なら営業は圧縮できますが、取りに行く動きがゼロになるわけではありません。それでも、既存の取引先からの紹介、エージェントの活用、知人からの声かけなど、営業の負担を抑える方法はそろっています。最初の一歩のハードルは、想像しているより高くありません。

ここで挙げた4つのうち、自己管理・スキル・営業の3つは、在職中の副業や学習で克服できます。一方、安定だけを優先したいという気持ちは、生まれ持った価値観に近く、簡単には変わりません。準備で克服できる内容と、変えにくい価値観を切り分けると、踏み出すかどうかの判断は見えやすくなります。4つすべてに強く当てはまるなら立ち止まる選択もありますが、1つか2つなら、準備で埋めていける余地は十分です。

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

4つのうち3つは準備で克服できる内容で、最後の1つだけが変えられない価値観として残ります。大事なのは、当てはまる数を数えることより、克服できる内容か、変えられない価値観かを分けて見ることです。克服できる側から副業や学習で手を打てば、独立までの不安を一つずつ減らせます。

フリーランスが向いている人の特徴

やめたほうがいい人の特徴の裏返しとして、続けやすい人の特徴も気になります。フリーランスの働き方と相性がいいのは、どんな価値観を持つ人なのでしょうか。当てはまれば成功が約束されるわけではありませんが、価値観が合うかどうかを確かめる材料になります。

自分でルールを決めたい人

仕事の進め方、働く時間、付き合う取引先、案件の選び方を、自分で決めたい人がいます。会社のルールに合わせるより、自分で設計したルールで動くほうがパフォーマンスが上がるタイプです。決められた枠の中で動くより、自分で枠を作るほうが力を出せる人は、フリーランスの自由を強みにできます。

成果に応じて収入を増やしたい人

給与の枠で収入が決まる働き方より、稼働量やスキルの成果がそのまま収入に反映される働き方に魅力を感じます。年収の上振れの余地を、自分の手で作りたい人です。単価交渉や案件の選び方次第で収入を伸ばせる手応えを、楽しめるかどうかが分かれ目になります。

スキルで評価されたい人

役職や社歴、年功で評価されるより、出したアウトプットとスキルだけで判断される環境を好むタイプです。評価軸がフラットであることに価値を感じる人ほど、フリーランスの評価環境と相性がよくなります。肩書きや勤続年数ではなく、出した成果で次の依頼が決まる点が、何よりの魅力です。

人間関係をフラットに保ちたい人

上司と部下のレポートライン、気をつかう飲み会、社内政治といった、人間関係のコストを下げたい人もいます。クライアントとは契約関係として、対等にやりとりしたい人です。組織内の調整に消耗してきた人ほど、対等な取引関係の身軽さを、大きなメリットに感じます。

西村 裕介
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ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

4つは成功の保証ではなく、価値観が合うかの指標です。半分以上が当てはまるなら、働き方そのもののストレスは低めにとどまるでしょう。今の自分にいくつ当てはまるかを確かめると、向き不向きの見当がつきます。

後悔を減らすための在職中の準備

向き不向きが見えてきたら、最後の問いは、後悔を減らすために何ができるかです。踏み出す前の準備次第で、独立後の苦労の量は大きく変わってきます。最低限おさえておきたい3つを、順に見ていきましょう。

踏み出すと決めた後の、準備から手続き、仕事獲得までの順番はフリーランスになるには(独立までの手順)で整理しています。

副業期間で検証する

独立する前に、副業として案件を受けてみるのが、最初の検証になります。在職中に稼げた額、案件の獲得にかかった時間、取引先からの反応は、すべて独立後の収入見込みの土台です。1〜2件を実際に納品できれば、自分の単価感や作業のペースが、評判ではなく数字でつかめます。会社の副業規定を確認したうえで、できる範囲から動き始めましょう。

副業として案件を受ける具体的な始め方や職種選びは副業フリーランスの始め方と確定申告で整理しています。

生活防衛資金の目安

独立した直後は、売上がまだ安定しません。月の生活費の6カ月分から1年分を生活防衛資金として確保しておくと、収入の波に飲まれずに済みます。たとえば月の生活費が25万円なら、6カ月分の150万円が一つの目安です。家族構成や固定費の重さで必要額は変わるので、自分の月々の支出から逆算して出してみてください。

案件獲得ルートを複数持つ

1社への売上依存が高すぎると、その会社の事情ひとつで収入はゼロ近くまで落ち込みかねません。エージェント経由、直接営業、知人の紹介、SNSからの流入、スクール経由など、複数のルートを並行で持っておけば、1つが止まっても残りで持ちこたえられます。最初の1社が取れても、そこで満足せず次のルートを開拓しておくのが、収入の土台を安定させるコツです。

後悔しやすいパターンを避ける

フリーランスになって後悔する人には、共通したパターンがあります。準備を飛ばして勢いで辞める、1社に依存したまま独立する、生活防衛資金を持たずに始める、といったケースです。

逆にいえば、避け方ははっきりしています。在職中に副業で検証し、取引先を複数に分け、数カ月分の資金を用意してから動くことです。やめたほうがいいかどうかより、準備したかどうかが結果を分けます。後悔の多くを生むのは、働き方そのものではなく準備の不足です。

西村 裕介
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ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

副業での検証、生活防衛資金、取引先の分散の3つがそろうと、独立後に行き詰まる確率は大きく下がります。会社員として動けるうちにしか試せないことばかりです。まずは副業として、1案件を取りにいくところから始めてみてください。

やめるかどうかは自分の物差しで決めよう

フリーランスはやめたほうがいい、と一律に言えるほど、この働き方は単純ではありません。理由はデータと照らすと部分的に誇張されていて、向き不向きはあるものの、準備で消せる部分も多く残ります。やめたほうがいいという声の大半は、準備せずに飛び込んで苦労した経験が出どころです。同じ理由でも、備えがあるかどうかで結果は変わります。最後は、他人の意見ではなく自分の物差しで決める判断です。

整理すると、

  • 理由は5つ(収入の波・社会的信用・福利厚生・事務作業・孤独)に集約される
  • 実態データでは、働き方に満足する人が7〜8割、収入に満足する人は4割未満で分かれる
  • 自己管理・スキル・営業は準備で克服できる、安定志向は変えにくい価値観
  • 在職中の副業検証・生活防衛資金・案件ルートの複数化が、後悔を減らす土台になる

まず始めるなら、自分の業種で副業として小さく検証してみるのが、最も再現性の高い一手です。1〜2件を会社員のうちに終えられれば、他人の評判ではなく自分の数字で判断できます。やめたほうがいいという理由だけに引きずられず、メリットとデメリットの両面から選んでいきましょう。

メリットとデメリットを正面から並べた判断材料はフリーランスのメリットとデメリットと後悔しない選び方で整理しています。


※本記事の内容は2026年5月時点の情報にもとづいて執筆しています。統計・制度は変更される場合があります。最新情報はフリーランス協会・公正取引委員会・厚生労働省の公式サイトをご確認ください。

西村 裕介
監修
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)
正社員として働きながら、コンサルティングやメディア事業を手がける法人を経営し、AFP認定ファイナンシャルプランナーとして個人でも活動中。副業フリーランスの立場から、独立や副業を考える人に役立つ情報を発信している。
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執筆
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記事の執筆・編集を担当
公的データに基づく制度や数値の記載を徹底し、商品・サービスは編集部が本当に良いと判断したものを紹介。専門資格を持つ監修者と連携し、フリーランス・個人事業主の判断材料となる情報をわかりやすくお届けします。