フリーランスと個人事業主と自営業の違いは?意味と使い分けを整理

フリーランスと個人事業主と自営業の違いは?意味と使い分けを整理
フリーランスの読みもの編集部
執筆
フリーランスの読みもの編集部
記事の執筆・編集を担当
西村 裕介
監修
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

求人サイトや契約書、役所の書類で「フリーランス」「個人事業主」「自営業」という言葉を見かけると、自分はどれに当てはまるのか考える場面があります。3つはよく似ていて、同じ人を指すこともあれば、指す範囲が違うこともあります。実はこの3つは、対立する区分ではなく、見ている角度が違う呼び方です。それぞれの意味と関係、自分がどれに当たりどう名乗ればいいかを整理します。

目次
  1. フリーランスと個人事業主と自営業の違い
  2. 3つの呼び方の関係と法律での位置づけ
  3. 自由業や法人との違い
  4. 自分はどれに当たりどう名乗るか
  5. 呼び方の違いを知って自分はどれかを確かめよう

フリーランスと個人事業主と自営業の違い

フリーランス・個人事業主・自営業は、どれかを選ぶ3択ではありません。働き方の呼び方、税務上の区分、世間的な総称と、それぞれ見ている角度が違うだけです。まずは違いを一覧で押さえます。

呼び方何を指すか位置づけ
フリーランス組織に属さず仕事を請け負う働き方フリーランス新法で定義
個人事業主法人を作らず個人で事業を行う人税務上の区分(開業届)
自営業自分で事業を営む人の総称法的な定義のない通称

フリーランスは働き方の呼び方

フリーランスは、会社などの組織に雇われず、案件ごとに仕事を請け負う働き方を指します。雇われずに自分のスキルで仕事を受ける働き方の呼び方で、職種は問いません。

エンジニアでもデザイナーでもライターでも、組織に属さず仕事を受けていればフリーランスです。会社員のように勤め先を答えるのではなく、働き方を表す言葉だと考えるとつかみやすくなります。フリーランスは、雇われずに仕事を請け負う働き方を指す呼び方です

個人事業主は税務上の区分

個人事業主は、法人を作らずに個人で事業を続ける人を指す、税務の世界の言葉です。税務署に開業届を出して事業を始めた個人が、税務上は個人事業主として扱われます。

出典:[手続名]個人事業の開業・廃業等届出手続|国税庁

個人事業主は、働き方ではなく税金の手続き上の区分です。フリーランスとして働く人の多くは、開業届を出して個人事業主になっています。個人事業主は、開業届を出して個人で事業を行う税務上の区分です

自営業は最も広い呼び名

自営業は、自分で事業を営む人を広く指す通称です。法律で決まった定義はなく、個人事業主も、会社を作った経営者も含む最も広い呼び名です。

自営業は範囲が広く、フリーランスも個人事業主も多くが含まれます。日常会話や役所の書類で「自営業」と書く場面は多く、ざっくりした総称として使われます。自営業は、自分で事業を営む人をまとめて指す広い通称です

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

3つの言葉は、どれが上でどれが下というものではありません。働き方を表すフリーランス、税務の区分である個人事業主、広い総称の自営業と、説明する角度が違うだけです。同じ一人の人が、文脈によって3つとも当てはまることもあります。まずは角度の違いを押さえると、後の話がすっきり入ってきます。

3つの呼び方の関係と法律での位置づけ

3つは別々のグループではなく、範囲が重なっています。関係を整理すると、自分がどこに入るのかが見えてきます。

3つの呼び方は範囲が重なっている

いちばん広いのが自営業で、自営業の中に個人事業主が含まれます。さらに、フリーランスとして働く人の多くは開業届を出して個人事業主になっています。

一方で、法人を作った経営者は自営業に含まれますが、個人事業主ではありません。フリーランスでも開業届を出していなければ、税務上の個人事業主には当たりません。呼び方は重なったりずれたりするため、ひとつの肩書きに決めきれなくて当然です。自営業が最も広く、その中に個人事業主やフリーランスが重なって入ります

法律や税務で定義があるのはどれか

3つのうち、法律ではっきり定義されているのはフリーランスです。2024年11月に施行されたフリーランス新法で、発注者から業務委託を受け従業員を雇わない人などが保護の対象として定められました。

出典:2024年公正取引委員会フリーランス法特設サイト|公正取引委員会

個人事業主は税務上の区分で、自営業には法律上の定義がありません。定義の根拠が、法律と税務と通称でそれぞれ違うことが、3つの言葉が紛らわしく感じる理由です。フリーランスは法律、個人事業主は税務、自営業は通称と、定義の出どころが違います

フリーランス新法で具体的に何が保護されるかはフリーランス新法の禁止行為と相談窓口で解説しています。

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

3つの言葉が混乱を生むのは、よって立つ世界が違うからです。フリーランスは新しい法律、個人事業主は税金の制度、自営業は昔からの通称にもとづく呼び方です。同じ人を別の角度から呼んでいるだけ、と分かると整理しやすくなります。自分がどの法律や制度の対象になるのかを意識すると、必要な手続きも見えてきます。

自由業や法人との違い

似た言葉として、自由業や経営者、法人もよく一緒に検索されます。それぞれとの線引きを整理します。

自由業との違い

自由業は、自営業の中でも専門的な知識や技能で独立して働く職業を指す通称です。作家や画家、医師や弁護士などが当てはまります。

自営業より範囲は狭く、特定の専門職を指すやや古い呼び方です。フリーランスとほぼ重なる場面もありますが、自由業のほうが昔からある言い方です。自由業は、専門職で独立して働く人を指す自営業の一種です

経営者や社長との違い

経営者や社長は、会社を経営する立場を指す呼び方です。多くは法人を作り、会社の代表者として事業を率います。

個人事業主は法人を作らない点が、経営者や社長と大きく違います。ただし、自分の事業を営むという意味では、個人事業主も広く経営者と呼ばれることがあります。経営者や社長は会社を率いる立場で、法人を作らない個人事業主とは区別されます

法人との違い

法人は、登記して設立する会社などの組織で、個人とは別の人格として扱われます。同じ事業でも、個人で行えば個人事業主、法人を作れば法人の代表になります。

法人にすると税金や社会保険の扱いが変わり、手続きも増えます。個人と法人のどちらがよいかは、所得や事業の規模によって変わります。法人化を検討する段階は、法人化の年収目安とメリット・デメリットで詳しく見られます。法人は個人とは別人格の組織で、税や手続きの扱いが個人事業主と異なります

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

自由業や経営者、法人といった言葉も、結局は「個人で事業をするか、会社という器を作るか」「どんな職業か」という角度の違いです。フリーランスとして働き始める段階では、まず個人で事業をするところからになります。法人を作るかどうかは、所得が増えて税金や信用の面でメリットが見えてきてから考える話です。

自分はどれに当たりどう名乗るか

言葉の整理ができたら、自分に当てはめます。実務で大事なのは、肩書きの正解探しではなく、届け出と名乗り方です。

開業届を出せば個人事業主になる

自分が個人事業主かどうかは、開業届を出したかどうかで決まります。税務署に開業届を出して事業を始めれば、税務上は個人事業主です。

働き方としてはフリーランス、税務上は個人事業主、というようにひとりが複数の呼び方に同時に当てはまるのはふつうのことです。開業届の具体的な書き方や手続きは、開業届の書き方と提出方法で確認できます。開業届を出せば、働き方はフリーランスのままで税務上は個人事業主になります

場面に応じた名乗り分け

呼び方は、場面に応じて使い分けて構いません。どれも嘘ではないからです。

契約書や請求書では個人事業主や屋号、自己紹介や名刺ではフリーランス、役所や家族への説明では自営業、と使い分ける人は多いです。相手に伝わりやすい言葉を選べば十分です。肩書きをひとつに固定する必要はないと考えると、名乗りで悩まなくなります。場面ごとに伝わりやすい呼び方を選べば、名乗りに決まった正解はありません

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

どの呼び方を使うかより、開業届を出しているか、どんな契約で仕事をしているかのほうが、実務では大切です。税金や保護の対象になるかは、呼び方ではなく実態と手続きで決まります。自己紹介ではフリーランス、確定申告では個人事業主、と場面で使い分けて問題ありません。名乗りの正解探しに時間をかけすぎないことです。

呼び方の違いを知って自分はどれかを確かめよう

フリーランス・個人事業主・自営業は、対立する区分ではなく見る角度が違う呼び方です。最後に要点を整理します。

  • フリーランスは働き方、個人事業主は税務上の区分、自営業は広い通称を指す
  • 3つは範囲が重なり、ひとりが同時に当てはまることもある
  • 法律で定義があるのはフリーランス、税務の区分が個人事業主、自営業は通称
  • 自由業は専門職の通称、経営者や法人は会社を作る点で個人事業主と違う
  • 自分が個人事業主かは開業届を出したかで決まる

まずは自分が開業届を出しているか、どんな契約で働いているかを確かめてみてください。呼び方は場面で選べばよく、実態と手続きがはっきりすれば、自分を一語で説明できるようになります。

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

3つの言葉は優劣を競うものではなく、同じ働き方を別の角度から呼んでいるだけです。大切なのは、自分が税務上どう扱われ、どんな契約で働いているかを把握することです。そこがはっきりすれば、フリーランスと名乗っても個人事業主と書いても、迷いはなくなります。まずは開業届の有無から確かめてみると、自分の立ち位置が見えてきます。


※本記事の内容は2026年6月時点の情報にもとづいて執筆しています。法律や税務上の扱いは変更される場合があります。最新情報は公正取引委員会や国税庁の公式サイトをご確認ください。

西村 裕介
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西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)
正社員として働きながら、コンサルティングやメディア事業を手がける法人を経営し、AFP認定ファイナンシャルプランナーとして個人でも活動中。副業フリーランスの立場から、独立や副業を考える人に役立つ情報を発信している。
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公的データに基づく制度や数値の記載を徹底し、商品・サービスは編集部が本当に良いと判断したものを紹介。専門資格を持つ監修者と連携し、フリーランス・個人事業主の判断材料となる情報をわかりやすくお届けします。