2024年11月施行のフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、施行1年で445件の指導・勧告に至りました。勧告事例には小学館・島村楽器など出版・楽器小売の大手が並び、直近では2026年3月31日に株式会社京都放送への勧告も出ています。違反業種は出版・放送・小売・サービス・情報通信・電気ガスまで広がっており、自分の取引にも当てはまる可能性がある節目です。
1年で445件の指導・勧告
フリーランス新法は、特定受託事業者(フリーランス)に業務委託する発注事業者に対して、7つの義務・禁止行為を定める法律です。取引条件の明示、期日における報酬支払い、報酬の減額禁止、不当な経済上の利益の提供要請の禁止などが含まれます。違反した発注事業者には、行政指導・勧告・社名公表・命令・罰金(50万円以下)が用意されています。
施行から1年での執行状況は、合計445件のうち勧告4件・指導441件です。

出典:施行1年で指導・勧告が445件、フリーランス法について|企業法務ナビ
勧告に至った代表事例は次のとおりです。
- 小学館(出版業)
- 島村楽器(楽器小売業)
- 京都放送(放送業・2026年3月31日勧告)
直近の京都放送への勧告では、3点の違反が認定されました。1つ目は、132名のフリーランスに対する取引条件の明示違反です。放送作家・スタイリスト・タレントなどに業務委託する際、報酬額や支払期日を書面・電磁的方法で明示していませんでした。2つ目は、110名に対して報酬の支払期日を定めず、役務提供日までに報酬を支払わなかった点。3つ目は、一部の対象者から合意なく手数料を差し引いていた点です。
出典:(令和8年3月31日)株式会社京都放送に対する勧告について|公正取引委員会
違反内容は「取引条件の明示義務違反」と「期日における報酬支払い義務違反」が大半を占めます。その他「報酬の減額禁止」「不当な経済上の利益の提供要請禁止」の違反も確認されています。

アニメ制作・ゲームソフト開発・フィットネスクラブなど業界を問わず違反が見つかっており、特定業種だけの話ではありません。
フリーランスへの具体的な影響
自分の取引で次のいずれかが起きていたら、申出を検討する材料になります。

- 業務委託契約の取引条件が書面や電子データで明示されていない
- 報酬の支払期日が成果物受領から60日を超えている
- 完成後に発注者の都合で報酬を減額された
- 発注事業者から物品の購入や役務の利用を求められた
申出窓口は、取引適正化に関する違反は公正取引委員会または中小企業庁、就業環境に関する違反は厚生労働省へ設置されています。

申出後の調査・指導では本人特定を避ける配慮があり、報復的取扱いは法律で禁止されています。
今のうちにやれること
手元の業務委託契約書と直近の支払い実績を見直し、取引条件の明示状況と支払期日が法律の要件を満たしているかを確認しておきます。いざ違反が起きたときに動ける状態を作るのが第一歩です。違反だと感じても申出をためらう人が多いことが、執行件数の偏りからも見えてきます。法律を知っているフリーランスと知らないフリーランスでは、同じ被害を受けたときに選べる行動が違ってきます。

施行1年で指導・勧告は445件、勧告事例には小学館・島村楽器・京都放送が含まれます。手元の業務委託契約の取引条件と支払期日が法律の要件を満たしているか、まず確認してみてください。
※本記事は公正取引委員会・厚生労働省・企業法務ナビの公表情報に基づいています。最新情報は公正取引委員会フリーランス法特設サイト・厚生労働省公式サイトをご確認ください。
