2026年4月1日、改正労働安全衛生法の一部が施行されました。この改正で、フリーランスや一人親方といった個人事業者が、労働安全衛生法の保護の対象として初めて明確に位置づけられました。ただし施行は段階的で、2027年、2028年にかけて適用が広がっていきます。自分の働き方に関係する内容がいつから始まるのかを、先に整理しておきます。
何が変わる?フリーランスに関わる3つの柱

改正法は2025年5月14日に公布され、2026年1月から段階的に施行されます。
出典:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)について|厚生労働省
フリーランスに直接関わるのは、主に次の3つです。
発注者側の安全衛生義務の拡大
2026年4月1日から、労働者と同じ場所で働く個人事業者等に対して、事業者が安全衛生対策を講じることが義務化されました。統括管理体制の構築、作業環境の改善、安全衛生教育の提供、危険を防ぐ措置などが含まれます。あわせて注文者は、法令違反となるような指示を個人事業者に出すことが明確に禁じられました。現場で必要な保護具を使わせない、無理な工程を一方的に指示する、といった行為が対象になります。
個人事業者自身にも義務が生じる
2027年4月1日からは、個人事業者の側にも義務が生じます。事業者が定めた安全衛生対策を守ること、安全装置のない機械を使わないこと、危険業務に従事する際に安全衛生教育を受けることなどが求められます。守られる対象であると同時に、自分でも安全を確保する立場になる、という整理です。
労災報告の制度化
2027年1月1日からは、個人事業者に業務上の災害が起きた場合に、厚生労働大臣が事業者への調査や報告要求を行える仕組みが始まります。これまで統計に表れにくかったフリーランスの労災が、制度として可視化されていきます。
施行スケジュールを時系列で押さえる

3つの柱は同時に始まるわけではありません。時期ごとに整理すると次のようになります。
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 2026年4月1日 | 発注者・事業者側の安全衛生義務が開始 |
| 2027年1月1日 | 個人事業者の労災について調査・報告要求の仕組みが開始 |
| 2027年4月1日 | 個人事業者自身の遵守義務が開始 |
| 公布から3年以内(2028年5月まで) | ストレスチェックの義務が全事業場へ拡大 |
出典:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)について|厚生労働省
自分の業種や働き方によって、関係する時期は変わります。現場系であれば2026年4月と2027年4月、データとして把握される労災報告は2027年1月、という順で押さえておくと見落としが減ります。
フリーランスへの具体的な影響

現場で作業するフリーランスにとって大きいのは、発注先が安全衛生対策を講じる義務を負った点です。建設、製造、物流などの現場で業務委託を受けている場合、発注先から安全衛生教育の案内や保護具に関する連絡が届く場面が増えていきます。これまで自己責任で片付けられがちだった現場の安全が、発注側の義務として明文化された意味は小さくありません。
一方、デスクワーク中心のフリーランスにも関わる動きがあります。ストレスチェックの実施義務が、これまでの「従業員50人以上」の事業場から、すべての事業場へ広がります。これは個人事業者自身に課される義務ではありませんが、常駐先や委託先の企業で対象に含まれるかどうかは、確認しておく余地があります。
まず確認しておきたいこと
施行が段階的なぶん、「自分にいつ・何が関係するか」を取り違えやすい改正です。まずは、自分の働き方が現場系かデスクワーク系か、発注先と同じ場所で作業しているかを切り分けると、関係する項目が見えてきます。厚生労働省は個人事業者等の安全衛生対策に関する特設ページを設けており、業種別の解説や資料が確認できます。健診の受け方や費用といった健康管理の周辺はフリーランスの健康診断の受け方と費用でも整理しています。
法律の保護対象に入ったことは、現場で声を上げる根拠が増えたということでもあります。自分に該当する時期と内容を先に押さえておくと、発注先とのやり取りで迷いにくくなります。
※本記事は2026年6月時点の厚生労働省の公表資料に基づいています。施行時期や対象の詳細は、厚生労働省の公式サイトをご確認ください。

