フリーランスの住民税はいくら?会社員との違いをわかりやすく解説

フリーランスの住民税はいくら?会社員との違いをわかりやすく解説
フリーランスの読みもの編集部
執筆
フリーランスの読みもの編集部
記事の執筆・編集を担当
西村 裕介
監修
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

会社員のときは給与から自動で引かれていた住民税が、フリーランスになって初めて納付書で届き、その額に驚いた人は少なくありません。住民税は所得税とは別の仕組みで、納め方も金額の決まり方も会社員時代とは変わります。とくに前年の所得に対して翌年に課税されるため、収入が落ちた年にも前年分の請求が来るのが落とし穴です。住民税がいくらになるのか、いつどう払うのか、会社員との違いから払えないときの対処までを整理し、前もって備えられるようにまとめました。

目次
  1. フリーランスの住民税は会社員と何が違う?
  2. 住民税はいくらかかるのか
  3. 住民税はいつどう払うのか
  4. 前年の所得に課税される落とし穴
  5. 住民税を抑える方法
  6. 払えないときの選択肢
  7. 住民税は前年分を見越して備えよう

フリーランスの住民税は会社員と何が違う?

会社員のときに意識しなかった住民税が、独立すると急に存在感を持ちます。まず変わるのは、税額そのものよりも納め方です。

給与天引きから自分で納付へ

会社員の住民税は、毎月の給与から天引きされていました。会社が本人に代わって納める特別徴収という方法です。フリーランスになると、自分で納める普通徴収に変わり、自治体から届いた納税通知書をもとに納付します。

出典:総務省|地方税制度|個人住民税

給与天引きで意識せず払えていたものを、自分の手で納めることになるのが最初の違いです。会社員時代は12回に分けて毎月引かれていた負担を、フリーランスは年4回でまとめて納めます。一度の支払額が大きく感じられるのは、納める回数が減るためです。住民税の総額が増えるわけではなく、納め方が給与天引きから自己納付に変わるのが本質的な違いです

独立した年に起きる切り替え

会社を辞めて独立した年は、住民税の納め方が途中で切り替わります。退職した月によって扱いが変わる点に注意が必要です。

1月から4月に退職した場合は、その年の5月までに納める残りの住民税が、最後の給与や退職金から一括で天引きされます。6月から12月に退職した場合は、残りが普通徴収に切り替わり、自分で納めます。

出典:個人住民税と特別徴収について|個人住民税の特別徴収推進ステーション

退職した翌年からは、前年の所得をもとに計算された住民税を、普通徴収で自分で納めます。独立直後は、会社員時代の高い所得に対する住民税が遅れて来ることもあります。独立した年とその翌年は、住民税の切り替えと前年所得分の請求が重なりやすいため、早めに見込みを立てておく必要があります

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

住民税で最初につまずきやすいのは、金額そのものより「自分で納める」という感覚の切り替えです。会社員のときは天引きで完結していたので、納付書が届いて初めて自分が納税者だと実感する人も多いです。独立したら、住民税は給与天引きではなくなると早めに知っておくだけで、納付書が届いたときに慌てずに済みます。まずは前職の住民税額を手がかりに、当面の負担感をつかんでおいてください。

住民税はいくらかかるのか

住民税の金額は、所得に応じてかかる所得割と、定額でかかる均等割を足して決まります。2つの仕組みを分けて見ると、自分の目安が立てられます。

所得割の税率は10%

住民税の中心は、所得に応じてかかる所得割です。標準税率は10%で、内訳は市町村民税6%と道府県民税4%です。

出典:総務省|地方税制度|個人住民税

所得割は、前年の所得から所得控除を差し引いた課税所得に、10%をかけて計算します。たとえば課税所得が300万円なら、所得割はおよそ30万円です。自治体によって税率が少し異なる場合があり、税額控除があればそこから差し引かれます。おおまかな目安として、課税所得の1割が所得割と考えておくと見積もりやすくなります。所得割は課税所得の約10%で、所得が増えるほど比例して増える部分です

均等割は定額で上乗せ

所得割に加えて、所得の多少にかかわらず定額でかかるのが均等割です。所得が少ない年でも、原則としてこの部分は発生します。

均等割の標準税率は年4,000円で、市町村民税3,000円と道府県民税1,000円の合計です。

出典:総務省|地方税制度|個人住民税

さらに令和6年度からは、国税である森林環境税が年1,000円、住民税の均等割とあわせて徴収されています。

出典:総務省|地方税制度|森林環境税及び森林環境譲与税について

合わせると、定額部分はおよそ年5,000円です。金額は自治体によって異なることがあります。住民税は、課税所得の約10%の所得割に、定額でおよそ5,000円の均等割などが加わるのが基本の形です

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

住民税の見積もりは、所得割と均等割を分けて考えると一気にやさしくなります。大きく動くのは所得割で、課税所得のおよそ1割が目安です。確定申告で課税所得が出たら、その1割に定額の5,000円ほどを足せば、翌年の住民税の概算がつかめます。細かい税額控除や自治体差はありますが、まず概算を持っておくだけで、資金の準備がぐっと進めやすくなります。

住民税はいつどう払うのか

金額の次に気になるのが、いつ払うのかです。普通徴収の納期と、納め方の選択肢を押さえておきます。

6月から年4回で納める

普通徴収では、6月ごろに1年分の納税通知書と納付書がまとめて届きます。納付は年4回に分かれ、第1期の6月から始まります。

出典:個人住民税と特別徴収について|個人住民税の特別徴収推進ステーション

納期は自治体によって異なりますが、6月、8月、10月、翌年1月の4回とするところが多くあります。各期に分けず、まとめて一括で納めることもできます。1年分が4回に分かれるぶん、1回あたりの額は会社員時代の毎月の天引きより大きく感じられます住民税は6月ごろに通知が届き、年4回に分けて納めるのが基本の流れです

納付方法の選び方

納める方法は、いくつかの中から選べます。口座振替にすると、各納期の末日に口座から自動で引き落とされ、払い忘れを防げます。

出典:口座振替について|都税の納税について - 東京都主税局

ほかにも、金融機関やコンビニの窓口での納付、スマホ決済アプリ、地方税のオンライン納付などが使えます。対応する方法は自治体によって異なります。払い忘れが心配なら、口座振替を設定しておくのが手堅い方法です。納め方は、自分が管理しやすいものを一つ決めておくと、納期ごとの手間が減ります

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

納期で気をつけたいのは、6月にまとまった通知が届くという点です。年4回とはいえ、1回の額は会社員時代の毎月の天引きより大きく見えます。口座振替にしておけば、納期ごとに自分で動かなくても引き落とされるので、払い忘れによる延滞を防げます。納付書が届いたら、まず4回分の合計と各納期の日付をカレンダーに書き込んでおいてください。

前年の所得に課税される落とし穴

住民税でもっとも見落とされやすいのが、課税のタイミングです。前年の所得に対して翌年に課税されるという仕組みが、フリーランスの資金繰りに影響します。

収入が落ちた年も前年分が来る

住民税は、前年の1月から12月までの所得をもとに計算され、翌年に納めます。所得税がその年の所得にかかるのとは、1年ずれています。

出典:総務省|地方税制度|個人住民税

このずれが効いてくるのは、収入が大きく落ちた年です。前年によく稼げた場合、今年の収入が減っていても、前年の高い所得をもとにした住民税が請求されます。収入の波が大きいフリーランスほど、稼げた翌年の納税額が重く感じられます。住民税は前年の所得で決まるため、収入が落ちた年でも前年分の負担が遅れて来ます

独立直後と廃業後の注意

タイミングのずれは、働き方が変わる場面でとくに表面化します。独立した直後と、事業をやめた後です。

会社員から独立した翌年は、会社員時代の所得をもとにした住民税が普通徴収で届きます。フリーランスとしての収入がまだ安定しない時期に、前年の給与に対する住民税が重なることがあります。事業をやめた場合も同じで、廃業した翌年に、稼いでいた前年分の住民税が請求されます。収入が途絶えてからまとまった納税が来るため、備えがないと資金繰りが苦しくなります。独立直後と廃業後は、前年の所得に対する住民税が遅れて来ることを見込んでおく必要があります

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

住民税のタイムラグは、知っていれば備えられ、知らないと不意打ちになる典型です。とくによく稼げた年の翌年は、住民税と所得税が重なって資金が一気に出ていきます。対策はシンプルで、稼げた年のうちに翌年の住民税分を別口座によけておくことです。所得の1割強を目安にプールしておけば、収入が落ちた年でも前年分の請求に落ち着いて対応できます。

住民税を抑える方法

住民税の所得割は課税所得に連動するため、課税所得を下げれば住民税も下がります。使える控除と、税負担がかからない非課税のラインを押さえておきます。

所得控除で課税所得を下げる

住民税の所得割は、所得から所得控除を引いた課税所得をもとに計算します。控除を活用して課税所得を下げることが、そのまま住民税を抑えることにつながります。

国民健康保険料や国民年金保険料は、社会保険料控除として全額が所得から差し引けます。小規模企業共済やiDeCoの掛金も、それぞれ控除の対象です。

出典:総務省|地方税制度|個人住民税

青色申告を選んでいれば、青色申告特別控除も課税所得を下げる効果があります。控除を積み上げて課税所得を下げると、所得税と住民税の両方が軽くなります。ふるさと納税のように、住民税から直接差し引かれる税額控除の仕組みもあります。住民税を抑える基本は、使える控除を漏れなく申告して課税所得を下げることです。控除に使う社会保険料はフリーランスの社会保険と年収別の負担額、確定申告そのものの手順はフリーランスの確定申告のやり方と必要書類で整理しています。

非課税になる場合

所得が一定額以下の場合は、住民税がかからない非課税になります。収入が少ない年に関わってくる仕組みです。

前年の所得が自治体の定める基準以下であれば、所得割や均等割が課されません。基準となる金額は、扶養している家族の人数や住んでいる地域によって変わります。

出典:総務省|地方税制度|個人住民税

所得が少なかった年は、住民税が非課税になる可能性があります。ただし基準は自治体ごとに異なるため、自分が該当するかは住んでいる市区町村で確認します。収入が少ない年は、非課税の基準に当てはまるかを確認すると、思わぬ負担を避けられます

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

住民税を下げる近道は、特別な裏技ではなく、控除を正しく使うことに尽きます。とくに国民健康保険料や年金、iDeCoや小規模企業共済の掛金は、そのまま課税所得を押し下げます。確定申告のときに控除の記入漏れがないかを見直すだけで、所得税と住民税の両方が変わります。収入が大きく落ちた年は、非課税の基準に当てはまることもあるので、市区町村に一度確認してみてください。

払えないときの選択肢

収入の波で、納期に住民税を払えないこともあります。放置すると負担が膨らむ一方で、早めに動けば使える制度があります。

滞納したらどうなる

納期限までに納めないと、まず延滞金が発生します。期限の翌日から、納めた日までの日数に応じて加算されていきます。

出典:納税が困難な方に対する猶予制度について|税金の支払い|東京都主税局

納付がないままだと督促状が届き、それでも納めないと、最終的に給与や預貯金などの財産が差し押さえられることがあります。滞納で一番避けたいのは、納付書を放置したまま連絡をしないことです。延滞金は日数に応じて増えるため、遅れるほど負担が重くなります。住民税を滞納すると延滞金がかさみ、放置すれば差押えに至ることもあります

分割や猶予を相談する

払うのが難しいときは、放置せず自治体の窓口に相談します。一定の事情があれば、納付を待ってもらえる制度を使える場合があります。

事業の不振などで納税が困難なときは、徴収猶予や換価の猶予を申請できることがあります。猶予が認められると、分割での納付が可能になり、猶予期間中の延滞金が一部または全額免除される場合があります。

出典:納税が困難な方に対する猶予制度について|税金の支払い|東京都主税局

制度を使うには申請が必要なため、納期限が来る前に相談するのが現実的です。分割納付の相談に応じてもらえる自治体も多くあります。払えないと感じたら、督促を待たず早めに自治体へ相談すると、延滞金や差押えを避けやすくなります

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

住民税が払えないときに最もやってはいけないのは、納付書を見ないふりをして放置することです。延滞金は待っているあいだも増え続け、督促を経て差押えに進むこともあります。一方で、収入が落ちた事情を早めに伝えれば、分割や猶予という現実的な選択肢が出てきます。払えないとわかった時点で、市区町村の納税窓口に自分から連絡してみてください。動くのが早いほど、打てる手は多く残ります。

住民税は前年分を見越して備えよう

フリーランスの住民税は、仕組みと納め方を知り、前年分が翌年に来ることを見越して備えれば、慌てずに付き合えます。会社員のときとの違いを押さえることが出発点になります。

  • 会社員の給与天引き(特別徴収)から、自分で納める普通徴収に変わる
  • 住民税は所得割(課税所得の約10%)と均等割(定額でおよそ5,000円)の合計
  • 普通徴収は6月ごろに通知が届き、年4回に分けて納める
  • 前年の所得に対して翌年課税されるため、収入が落ちた年も前年分が来る
  • 独立直後と廃業後は、前年の高い所得に対する住民税が遅れて届く
  • 課税所得を下げる控除で住民税も下がり、所得が少なければ非課税になる場合がある
  • 払えないときは放置せず、自治体に分割や猶予を早めに相談する

最初の一歩は、確定申告で出た課税所得から翌年の住民税をざっくり見積もることです。課税所得の1割に定額分を足した金額を、毎月少しずつ別口座にプールしておけば、6月の通知が来ても落ち着いて納められます。住民税は、前年の自分が稼いだ分を翌年に納める税だと捉えると、備え方が見えてきます。

西村 裕介
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

住民税は、所得税の納税が終わってひと息ついた頃にやってくるため、見落とされがちな固定費です。けれど仕組みはシンプルで、前年の課税所得の1割強を翌年分として用意しておけば、ほぼ対応できます。とくに独立直後と、よく稼げた年の翌年は要注意です。確定申告で課税所得が確定したら、その場で翌年の住民税を概算し、プールする金額を決めてしまうのが、一番たしかな備えになります。


※本記事の内容は2026年6月時点の情報にもとづいて執筆しています。住民税の税率や均等割の額、非課税の基準、納期、各種制度は自治体によって異なり、変更される場合があります。最新情報は総務省およびお住まいの市区町村の公式サイトをご確認ください。

西村 裕介
監修
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)
正社員として働きながら、コンサルティングやメディア事業を手がける法人を経営し、AFP認定ファイナンシャルプランナーとして個人でも活動中。副業フリーランスの立場から、独立や副業を考える人に役立つ情報を発信している。
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執筆
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公的データに基づく制度や数値の記載を徹底し、商品・サービスは編集部が本当に良いと判断したものを紹介。専門資格を持つ監修者と連携し、フリーランス・個人事業主の判断材料となる情報をわかりやすくお届けします。