フリーランスとは?意味や個人事業主との違いをわかりやすく解説

フリーランスとは?意味や個人事業主との違いをわかりやすく解説
フリーランスの読みもの編集部
執筆
フリーランスの読みもの編集部
記事の執筆・編集を担当
西村 裕介
監修
西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)

フリーランスという言葉を目にする機会が増えています。会社員として働きながら「自分のスキルで独立できるのではないか」と考え始めた人にとって、まず知りたいのはフリーランスの正確な意味と全体像です。

フリーランスとは何か。個人事業主とはどう違うのか。どんな職種があり、お金の仕組みはどうなっているのか。定義から手続きまで、フリーランスという働き方の基本を整理します。

目次
  1. フリーランスの意味と定義
  2. フリーランスの主な職種
  3. フリーランスのメリットとデメリット
  4. フリーランスが知っておくべきお金の基本
  5. フリーランスになるための手続き
  6. フリーランス新法で変わった働き方の保護
  7. 自分に合う働き方かどうかを見極めよう

フリーランスの意味と定義

フリーランスとは、特定の企業や組織に雇用されず、自分のスキルや知識を使って仕事を請け負う働き方を指します。

もともとは中世ヨーロッパの「自由な槍騎兵(Free Lance)」に由来する言葉です。特定の領主に仕えず、自分の腕で報酬を得ていた傭兵が語源とされています。

現在の日本では、2024年11月に施行されたフリーランス新法で法的な定義が定められました。「業務委託の相手方である事業者であって、従業員を使用しないもの」がフリーランスの定義です。個人だけでなく、1人社長として法人を設立している場合もフリーランスに該当します。

フリーランスは個人だけでなく1人社長も含むことを示した図解。共通点は従業員を使わず業務委託で仕事を請けること

フリーランスの人口は増え続けており、ランサーズの調査によると2024年時点で約1,303万人に達しています。日本の労働力人口の約18.8%を占める規模です。

出典:「フリーランス実態調査 2024年」を発表|ランサーズ株式会社コーポレートサイト

個人事業主との違い

フリーランスと個人事業主は似た場面で使われますが、意味が異なります。

フリーランスと個人事業主の違いを示した図解。フリーランスは働き方の名前、個人事業主は税務上の区分で、開業届を出すと個人事業主にもなる

フリーランスは「働き方」を指す言葉であり、個人事業主は「税法上の区分」です

比較軸フリーランス個人事業主
定義組織に属さず仕事を請け負う働き方税務署に開業届を出した個人事業者
届出届出なしでも名乗れる開業届の提出が必要
法人の可否法人(1人社長)も含む個人のみ
税制上の扱い特になし青色申告 / 白色申告の選択が可能

フリーランスとして働いている人が税務署に開業届を出せば、個人事業主にもなります。フリーランスという大きな枠の中に、個人事業主が含まれるイメージです。

自営業やフリーターとの違い

自営業は、自分で事業を営む人の総称です。フリーランスだけでなく、飲食店や小売店を経営する人も含む広い概念です。

フリーターは、パートやアルバイトで生計を立てている人を指します。雇用契約で働くため、業務委託で仕事を請け負うフリーランスとは雇用形態がまったく異なります。

比較軸フリーランス自営業フリーター
契約形態業務委託(請負・委任)形態問わず雇用契約
雇用関係なしなしあり
含まれる範囲スキル型の個人が中心店舗経営者も含むパート・アルバイト
西村 裕介
西村 裕介(ファイナンシャルプランナー)

フリーランスと個人事業主の違いは、働き方の呼び名と税務上の区分の違いです。実務的に重要なのは開業届を出しているかどうかで、開業届を出すことで青色申告による節税の選択肢が生まれます。まず開業届が必要かどうかを国税庁のサイトで確認してみてください。

フリーランスの主な職種

フリーランスとして成り立つ職種は、IT・エンジニア系だけではありません。スキルや経験を武器に仕事を請け負える分野は幅広く存在します。

IT・Web系の仕事

フリーランスの中でも案件数が多く、需要が伸びている領域です。

  • プログラマー・システムエンジニア
  • Webデザイナー
  • Webマーケター
  • データアナリスト
  • インフラエンジニア

IT系のフリーランスは、リモートワークとの相性がよく、場所を選ばず働ける職種が多い点が特徴です。

クリエイティブ系の仕事

制作スキルを軸に、個人の作風やセンスが評価される分野です。

  • ライター・編集者
  • グラフィックデザイナー
  • イラストレーター
  • 動画クリエイター・映像編集者
  • カメラマン

クリエイティブ系は、ポートフォリオが営業ツールになります。過去の制作実績が仕事の獲得に直結しやすい職種です。

コンサル・士業系の仕事

専門知識や業界経験を武器に、企業の課題解決を支援する分野です。

  • 経営コンサルタント
  • 税理士・公認会計士
  • 社会保険労務士
  • キャリアコンサルタント
  • 営業代行

コンサル・士業系は、会社員時代の経験がそのまま強みになりやすい分野です。特定の業界知識や人脈が差別化要素になるため、独立後の初期段階でも仕事を得やすい傾向があります。

西村 裕介
西村 裕介(ファイナンシャルプランナー)

職種の選び方で大事なのは、市場に需要があるかどうかです。自分がやりたい仕事と、市場が求めている仕事の重なりを確認することが、フリーランスとして安定する第一歩になります。自分のスキルに近い職種の案件がどのくらい存在するか、フリーランス向けの案件サイトで一度検索してみてください。

フリーランスのメリットとデメリット

フリーランスには会社員にはないメリットがある一方で、自分で引き受ける範囲も広がります。判断材料として、両面を整理します。

フリーランスのメリット

働く時間と場所を自分で決められる点は、フリーランスの大きなメリットです。通勤時間がなくなるだけでなく、生活リズムを自分で設計できます。

仕事を選べることも大きな特徴です。自分の得意分野や興味のある案件を選んで受注できるため、スキルの方向性を自分でコントロールできます。

実力が収入に直結する点も見逃せません。会社の評価制度に左右されず、成果がそのまま報酬に反映されます。スキルを磨けば磨くほど、収入を伸ばす余地があります。

業務に必要な支出を経費として計上できるため、節税の選択肢も広がります。通信費、交通費、書籍代、ソフトウェアの利用料などが経費の対象になります。

フリーランスのデメリット

収入に波がある点は事実です。案件の増減によって月ごとの売上が変動するため、数ヶ月先を見据えた資金管理が欠かせません。

社会保険の自己負担が増える点も把握しておく必要があります。会社員は健康保険料を会社と折半していますが、フリーランスは国民健康保険料を全額自分で支払います。

確定申告や請求書の発行、契約書の確認など、事務作業を自分で行う必要があります。会計ソフトを活用すれば効率化できますが、最低限の知識は求められます。

住宅ローンやクレジットカードの審査で不利になることがあります。特に独立直後は収入の実績が少ないため、審査が通りにくい傾向です。会社員のうちにカードの作成やローンの契約を済ませておくのも一つの考え方です。

西村 裕介
西村 裕介(ファイナンシャルプランナー)

メリットとデメリットは、何を優先するかで意味が変わります。収入の波をリスクと見るか、実力次第で天井がないチャンスと見るかは、その人の判断軸次第です。数字で判断することが大事なので、まず今の年収と手取り額を把握した上で、フリーランスになった場合の収入シミュレーションをしてみてください。

フリーランスが知っておくべきお金の基本

フリーランスのお金の仕組みは、会社員とは大きく異なります。知っているかどうかで手元に残る金額が変わるため、全体像を押さえておくことに意味があります。

会社員とフリーランス・個人事業主のお金の流れの違いを示した図解。会社員は会社が税金を計算・納付するが、フリーランスは売上から経費を引いて自分で計算・納付する

税金と確定申告

フリーランスが納める主な税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税の4つです。

会社員の場合、所得税と住民税は給与から天引きされます。フリーランスは自分で計算し、確定申告を通じて納付します。

所得税は、売上から経費を差し引いた「所得」に対してかかります。所得から基礎控除(48万円)などの各種控除を差し引いた金額が課税対象です。

出典:No.1199 基礎控除|国税庁

青色申告を選ぶと最大65万円の特別控除が受けられます。白色申告より帳簿の手間は増えますが、節税効果を考えると青色申告を選ぶフリーランスが大半です。

出典:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

社会保険と年金

会社を辞めてフリーランスになると、健康保険と年金の制度が切り替わります。

項目会社員フリーランス
健康保険健康保険組合(会社と折半)国民健康保険(全額自己負担)
年金厚生年金(会社と折半)国民年金(全額自己負担)
労災保険あり原則なし

国民年金だけでは老後の受給額が厚生年金より少なくなるため、iDeCo(個人型確定拠出年金)や国民年金基金で上乗せする選択肢があります。iDeCoは掛金の全額が所得控除になるため、節税と老後資金の積み立てを同時にできる仕組みです。

出典:iDeCoの税制優遇(税制メリット)|iDeCo公式サイト

西村 裕介
西村 裕介(ファイナンシャルプランナー)

お金の仕組みを知ることは、フリーランスにとって純粋に武器になります。税金と社会保険の負担を把握していないと、売上が上がっても手取りが増えない状況に陥ります。まず国税庁のサイトで所得税の税率表を確認し、自分の想定年収でいくら税金がかかるか概算を出してみてください。

フリーランスになるための手続き

フリーランスとして活動を始めるために必要な手続きは、想像するほど複雑ではありません。最低限やるべきことを整理します。

フリーランスが最初に提出する2つの書類を示した図解。開業届と青色申告承認申請書をセットで提出するのが基本

開業届と青色申告承認申請書

フリーランスになったら、税務署に開業届(個人事業の開業届出書)を提出します。届出は無料で、税務署の窓口またはe-Taxから提出できます。

青色申告で確定申告をしたい場合は、青色申告承認申請書もあわせて提出します。1月16日以降に開業した場合の提出期限は、開業日から2ヶ月以内です。

出典:No.2090 新たに事業を始めたときの届出など|国税庁

最初にやっておくべき準備

開業届以外にも、早い段階で済ませておくと後が楽になる準備があります。

  • 事業用の銀行口座を開設する
  • 会計ソフトを導入する
  • 事業用のメールアドレスを用意する
  • 名刺やポートフォリオサイトを作成する
  • クレジットカードを会社員のうちに作っておく

事業用口座と個人口座を分けておくと、確定申告の際に経費の計算がスムーズになります。独立後ではなく会社員の段階で準備できるものは先に済ませておくと、独立直後の負担が減ります。

西村 裕介
西村 裕介(ファイナンシャルプランナー)

手続き自体は難しくありません。開業届はA4用紙1枚で、記入にかかる時間は10分程度です。重要なのは青色申告承認申請書を出し忘れないことで、出し忘れるとその年は白色申告になり、最大65万円の控除が使えません。開業届と青色申告承認申請書はセットで提出するものだと覚えておいてください。

フリーランス新法で変わった働き方の保護

2024年11月、フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されました。フリーランスの取引環境を整備するための法律で、発注者側に以下の義務が課されています。

  • 業務内容、報酬額、支払期日などの取引条件を書面やメールで明示する義務
  • 成果物の受領日から60日以内に報酬を支払う義務
  • 正当な理由のない報酬の減額や受領拒否の禁止
  • ハラスメント対策のための体制整備義務

フリーランスが法律で保護される仕組みが整備されたことで、取引上のトラブルに対して法的根拠を持って対応できるようになりました。取引でトラブルが起きた場合は、厚生労働省が委託する「フリーランス・トラブル110番」に無料で相談できます。

※制度は変更される場合があります。最新情報は公正取引委員会や厚生労働省の公式サイトをご確認ください。

西村 裕介
西村 裕介(ファイナンシャルプランナー)

フリーランス新法は、知っているかどうかで交渉力が変わる法律です。発注者が支払いを遅延した場合や、契約条件を一方的に変更された場合に、法的根拠を持って対応できます。契約書に支払期日の記載があるか、直近の取引から確認してみてください。

自分に合う働き方かどうかを見極めよう

フリーランスとは、組織に属さず自分のスキルで仕事を請け負う働き方です。ここまで整理したポイントをまとめます。

  • フリーランスは「働き方」の名称で、個人事業主は「税法上の区分」
  • IT、クリエイティブ、コンサルなど対応できる職種は幅広い
  • 時間と場所の自由がある一方、収入の波と事務作業の負担がある
  • 税金と社会保険の仕組みは会社員と大きく異なる
  • 開業届と青色申告承認申請書の提出が最初のステップ
  • フリーランス新法により、取引の保護が法律で整備された

フリーランスという働き方が合うかどうかは、情報を集めた上で自分の判断軸で決めるものです。まず自分のスキルに近い職種の案件がどのくらい存在するかを調べてみると、次に考えるべきことが見えてきます。

西村 裕介
西村 裕介(ファイナンシャルプランナー)

フリーランスになるかどうかを判断するときに大事なのは、感情ではなく数字で考えることです。今の年収、手取り額、毎月の固定費を書き出した上で、フリーランスになった場合の税金と社会保険の負担を概算してみてください。数字で比較すれば、自分にとって合理的な選択かどうかが見えてきます。


※本記事の内容は2026年5月時点の情報にもとづいて執筆しています。制度は変更される場合があります。最新情報は国税庁・厚生労働省等の公式サイトをご確認ください。

西村 裕介
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西村 裕介
ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)
正社員として働きながら、コンサルティングやメディア事業を手がける法人を経営し、AFP認定ファイナンシャルプランナーとして個人でも活動中。副業フリーランスの立場から、独立や副業を考える人に役立つ情報を発信している。
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